欲望の解体ショー
一夜限り/現金のみ
ネオンがまたたいてる。
路地は濡れてる。
ゴミ袋が裂けて中身が路面に貼り付いてる。
地下階段を降りると
コンクリートの匂い。
中央に置かれてるのは
透明なポリ袋。
中で何かが動いてる。
マジックで雑に書かれた文字。
WANTED
拍手はない。
代わりに低音のベースが壁を震わせる。
ドン。
ドン。
ドン。
第一演目:剥がし
ポリ袋が裂かれる。
中から出てくるのは
光沢のある塊。
選ばれたい。
外気に触れた瞬間
表面が乾いてひび割れる。
裏に刻まれているのは
消えたくない。
誰かがタバコを踏み消す。
第二演目:圧
鉄の台に乗せられる。
油圧プレスがゆっくり降りてくる。
成功
フォロワー
順位
指名
拍手
全部、音を立てて潰れる。
ぐしゃ。
残るのは
黒くて小さい芯。
置いていかれたくない。
誰も笑わない。
第三演目:暴露
青白い非常灯。
芯が割れる。
中から出てくるのは
体育館の隅。
名前を呼ばれなかった午後。
グループから外れた放課後。
誰かが目を伏せる。
最終演目:返却
潰れた芯は
また袋に戻される。
もう綺麗じゃない。
光らない。
匂いがする。
ラベルはない。
ただ脈打ってる。
出口は非常口。
鉄のドアを押すと
冷たい夜気。
路地裏の水たまりに映るのは
さっきの芯。
それを踏むか、
拾うか。
選ぶのは観客。
